桜が咲き始めた上津江周辺オートポリス。同時にS-FJシリーズが開幕した。全12台が集結、今年は昨年の覇者・田崎貴英が抜けたため、シリーズチャンピオンは一体誰の手に! 開幕から興味ある争いとなった。「第1戦のみ参戦しました」と、王者・#57吉田宣弘の姿もあった。
朝方に降った雨が路面を濡らしたまま、予選が開始される。5周目まで吉田が2分6秒471でトップをキープ。吉田はチェッカーが出る前にピットへ。時間的にラストアタックという場面で、一気に#56川地欽也が2分5秒833を叩き出し、ポールを獲得する。2番手には#28吉元陵が0.148秒の差で吉田の前に出た。唯一、スリックタイヤで賭けをした#27中村玄だったが、これが裏目に出てしまい最後尾スタートとなった。
午後からの決勝。天候は完全にドライ状況となり、風は少しあるが真っ青な空の下での開催となった。ポールの川地が好スタートで、そのままトップで走行する。フロントロウからの吉元と吉田が並び、やがて吉田が2位へ浮上。オープニングで川地の背後に0.747秒差で迫ってくる。2周目で3番手を走行していた吉元がいきなりのスローダウン! ギアトラブルにより、無念のリタイヤとなってしまった。「後半に合わせたセッティングだっただけに、悔しいです」。序盤から接近戦と化していた川地・吉田だが、3周目の100Rで川地を捉え2ヘアで完全にトップとなった吉田。ここからトップ吉田はただ一人1分59秒台に乗せ単独走行へ。
中盤、川地のミラーに映りだしたのが#9佐野新世。約1秒まで接近してくる。川地と佐野の接近戦の後方では、もう1組がバトルを繰り広げていた。最後尾から5番手に浮上してきた中村に、ロードスターチャンピオンの経歴を持ち、デビュー戦でもある#8岡井貴経が離されまいと付いている。後半戦はこの2バトルの争いにギャラリーが湧いた。2位争いの川地VS佐野組は、100Rの速さが勝敗の分かれ目か、川地が一歩リードし順位をキープした状態。5位争いの中村は経験の差で一歩リードした状況か、岡井を巧みにブロックしていく。
2位川地に約10秒差のリードで吉田が優勝。続いて川地が1.67秒差で佐野の追撃を許すことなくゴール。4位に#38 Aaron May、最後尾から、そして岡井とのバトルを抑えた中村が約0.7秒差で5位のチェッカーを受けた。 天候が午後からガラリと変わり、気温が高く水温やタイヤで苦労した選手が目立った。なお、吉田は現段階では開幕戦のみの予定であり、次戦のウィナーが非常に楽しみなオートポリス・S-FJシリーズの幕開けである。
優勝:#57 吉田宣弘
「余裕があるように見えたようですが、序盤は川地選手の速さに付いていくのが必死だったんですよ。熱の入ったタイヤがフィーリングが悪くて。明らかに川地選手が有利でしたもの。様子をうかがっていたけど、ちょっと焦りましたね。後半で勝負しようかと思ったけど、100Rで川地選手が一瞬ミスしたんでそこで抜きました。本当は57秒出したかったけど、今日はコンデションが悪すぎましたね(笑) 」
2位: #56 川地欽也
「スタートは我ながら抜群でしたね。リアがかなりきつかったので、吉田さんに付いていくのは厳しいと思ったので、今の順位をキープする方向に切り替えました。そしたらミラーに佐野選手が映ってきて。100Rでは自分のほうが速いと解ったので、ストレートで追いつかれないようにマージンを稼いでいました 」
3位:#9 佐野新世
「超オーバーで大変でした。金曜日にエンジンを乗せ換えて、それからなかなか自分のセッティングに出来なかった。暴れるクルマを何とかねじ伏せていた状態ですね。川地選手とほぼ同タイムだと解ってたので、なんとか抜きたかったんですが…とにかくドタバタなレースウィークでした 」