日差しが一段と強くなっ14時半。オートポリス・ゴールドカップ第3戦スーパーFJ決勝レースは、全11台が集結し、各グリッドに揃い踏みした。ポールは唯一2分00秒台に乗せた福田詩久がゲットする。フロントロウには初優勝を狙う、若手の吉元陵。その後ろにコンマ5秒差で川地欽也が前を狙う。
シグナルが変わり、好スタートで1コーナーを周ったのは福田。続いて吉元に川地が迫り、早くも両者の接近戦が始まった。ジェットコースター下り坂で、川地が吉元を交わし2位に浮上、オープニングは福田、川地、吉元、田崎と続く。福田が少し抜け出し、2位争いの3台が約2秒以内に詰まる、熾烈な争いと化していった。
福田の独走か!? と思われたこのレースだったが、中盤に差し掛かり2位の川地との差が1秒以内まで近づいてきた。ペースの上がらない福田VS川地に、後続の吉元、田崎が近付き、トップ集団が4台に形成され何度も4ワイドのシーンに! まさにワンミスが命取り状態、ここから益々展開が変化していく。そして、このレース…誰もが雨の予報など予想してなかっただろう。なんと高低差の激しいコース内では、ダウン部分で結構な雨が降り出していた。雨が好きと語る田崎が8周目に吉元を交わし3位へ浮上、川地をも交わし2位へ。しかし変わらず、9周目も4台による接近戦が続く。トップを死守する福田まで、コンマ184まで接近してきた田崎だったが、上りセクション・ブリッジ下でアウトから勝負をかけたその隙に、再び川地がそのインをついて両者は接触! 幸いにも3位で田崎はコース復帰出来たが、川地はガードレースにヒットしてしまい、万事休すに。
ファイナルラップ、ここでドラマはおきた。ダウン箇所の雨はさらにひどくなり、トップを走る福田が一瞬、接近する吉元を見失ってしまう。その隙をついた吉元が、インから一気に福田を交わし、トップへ浮上。残りはあと少し! 福田もまだ諦めてはいない。だが、コンマ193が勝敗を決め、吉元がトップチェッ カーを受け、嬉しい初優勝を成し遂げた。一方、このレースはピットスタートからの佐野新世が、怒涛の追い上げをみせ、4位チェッカーと健闘している。
【優勝】吉元陵
「ニュータイヤで挑んだのですが、どうもしっくり…。スタートが苦手な自分ですが結構いけたと思ったけど、欽也(川地)さんが迫って来ていて(苦笑)。ストレートで水温が上がり焦りましたが、そのうち雨が降ってきたので “ラッキー!” と(笑) 上位がやりあってるのも、様子をみていました。とにかく優勝出来て嬉しいです!」
【2位】福田詩久
「今回はマシンに特に問題はなかった。気温が上がるだろうと思って、タイヤのエアを下げたんですね。そしたら、まさかの雨! ペースが上がらなかったのは、タイヤのエアのせいです。最終に雨がひどくなって、吉元くんが視界から見えなくなったんで “飛んだのかな” と思って左を見た瞬間、右から来られました。天候にやられたレースだったと思う。色々と考えすぎましたね。一昨日から、データを取っていたのに…悔しいので、明日走行して探ります」
【3位】田崎貴英
「予選は1周目スピンをして、ガックリ。最終アタックも他者にひっかかり4番手に。好スタート出来たんで、吉元対川地の争いから一歩引いて冷静に見ていました。アブねえなあ~と(笑)。2位までいけたとき、福田さんのペースが上がらず、4台が団子になっちゃって! 上りセクションで、アウト側から狙っていったら、欽也(川地)さんが開いたかな? とインに入って接触しちゃいました。復帰は「神様お願い!」と祈りましたね~。なんとかきいてくれたみたい(笑)」
川地欽也
「スタートは良かったですねえ。前半はタイヤ温存! だけど、それが裏目に出てしまったかな。温まったころ、上位にビッタシつけて、行けるか? と考えていたんですが…。福田さんのタイヤがきつそうだったけど、なかなか抜けず。そしたら、3,4位が詰まってきて。裏は雨がひどかったですね。接触で左アームが曲がってしまったけど、どうにかチェッカー受けたから、よかったです」