2014年オートポリス・ゴールドカップ第5戦

スーパー耐久レース最終戦と併催で行われた、ゴールドカップ・S-FJ/FJ1600第5戦。これまでの4戦、誰一人連勝者はおらず、今回第5戦でシリーズチャンピオンが決定する注目のラスト戦となった。#55 田崎貴英、#27 中村玄、#56 川地欽也、#26 吉元陵まで、チャンピオンの可能性が残っている。

土曜日曇り空の中、全車スリックで挑んだ予選は、一度もトップを譲らなかった#26 吉元陵が初のポールポジションを獲得した。だがフロントロウの#55 田崎貴英、#56 川地欽也、#88 池田雄太郎、#9 佐野新世、#38 AKI MIYAZAKIの6名が同じ2分フラット台に乗せ、1秒以内に迫る状態である。しかも明日の決勝は雨予想、予選後もセッティングに悩む選手が多く見られた。

決勝は翌日曜日の午前。予報通りの雨にガッツポーズ、そうでない選手と、ピットに微妙な空気が流れる。レインタイヤが新品・中古の選手に分かれていたのも、原因だろう。各車グリッドに着くころ、雨はほぼ止んでいたが路面はウエットだ。中古タイヤのP.P吉元は不安な表情を隠せない。シグナルが消え好スタートを見せた吉元は、オープニングで2番手田崎との差を1秒49とし、安定した走りを見せていた。少しずつ差を広げていく吉元だったが、3周目1コーナーでコースアウトを喫してしまう。何とか復帰できたものの、9番手まで後退。代わってトップに立った田崎、背後には川地が1秒311差で迫っている。だが、ここでもタイヤの新・古が選手に襲い掛かってしまった。4周目、川地がコースアウトで上位陣から脱落してしまう。シリーズチャンプが掛かっていた選手が、相次いで脱落……しかも中古タイヤ組であった。

中盤より、田崎は安定の走りを見せる。2番手の池田との差は4秒573。池田の後に中村が約7秒差といった間隔だ。その後も田崎は、池田を徐々に引き離していき、独走状態となっていった。
終盤まで、目立った順位の変動はなく、上位3台は2分08秒台で走行。そしてファイナルラップ、9番手まで後退した川地が07秒を叩き出し、ファステストを出すが序盤のコースアウトさえなければ……と惜しい場面も。
トップチェッカーをうけた田崎は、第5戦の優勝と2014年シリーズチャンピオンに輝き、二重の栄冠を勝ち獲った。2位は池田、3位は中村が入り、三島自動車が表彰台を独占、そして上位3者は新品タイヤ組。まさにタイヤの新・古が明暗を分けたといっても過言ではなかろう。唯一FJ1600で参戦の#41 寺島孝が、見事7位と健闘している。

第5戦優勝:シリーズチャンピオン #55 田崎貴英
「予選は全然ダメだったんですよ。全然乗れてなく、全てにおいてダメでしたね。でも、決勝はフロントロウからなので大丈夫かな、と。雨だったらぶっちぎりで行きますよ!(笑)」予選はまったく手応えのなかった田崎。
「明日は絶対雨になる! そう確信して、セッティングしました。それが当たりまして。前を走る吉元君は、中古タイヤながらも結構走れてるんで、ちょっと焦るほどでした。
2番手スタートが結果よかったかな。皆の動きを見ながら走れたし、自分のペースでマシンコントロール出来ましたから。予選と比べ、セッティングが抜群に決まっていたんです。中盤辺りから、後ろの池田君との差が少しずつ離れてきているのが判ったんで、落ち着いて走ればこのままいけるかな、と思いました。いや〜本当に嬉しいですね! 三島自動車の皆様、メカニック、そして家族。ここまで支えてくれて感謝感激です。もてぎでは、おじさんパワーで頑張ってきます! 」
第5戦2位: #88 池田雄太郎 (2009年度チャンプ)
「今回は、今年すべてのレースで初の参戦でした。S-FJになって、あまり雨は走った経験がないんですよ。タイヤは新品で本当によかった。セッティングはデータがないので、一か八かで行きました。勝てなかったのは自分の練習不足。次戦、乗れるチャンスがあったら、もっともっと頑張ります。今回乗るチャンスをくれた、三島さん、絹原選手、多くの方に支えられて参戦することが出来ました。感謝をこめてお礼を申し上げます。」
第5戦3位:シリーズ2位 #27 中村玄
「昨日の予選は、上位組に全然ついていけなくて、厳しいかな……と。しかし、決勝はメカニックさんのご提案で、素晴らしいセッティングにしてくれて、物凄く乗りやすいマシンになりました! パフォーマンス、全てがばっちりでした。今日のこの戦に新品タイヤを履かせてよかったです(久々の新品)。本当に今日は落ち着いて乗れました。前も見えていたし、離されないようにしていました。池田君との差が見えていたので、追いつかないまでも離されない感じで“これをキープしよう、ミスしないように” と思っていました。年間を通じて、上位陣についていけない自分がいましたが、皆勤賞で少しずつポイントを獲っていけたのが振り返ると良かったですね。来年も参戦予定です。」
第5戦8位 シリーズ3位 #26 吉元選手
「好スタート出来ましたが、中古タイヤというのがスタート前からの不安要素でした。雨は得意なので最初は行けるかも、と思ったんですが……やはりブレーキングで全くダメでしたね。いやな予感が当たりました。1コーナーで2回、2ヘアで1回、計3回もコースアウトしました(苦笑)。その都度なんとか復帰できたんで、1Pでも獲れてよかったです。しかしタイヤだけは悔やまれますね。今年はあまりレースに出れなかったけど、最後に自身初のポールが獲れて嬉しかったです。」

※ #26 吉元陵選手と#56 川地欽也選手は同ポイント。しかし、吉元選手に優勝経験があるため(上位順位者)同率にはならず、吉元選手が3位確定とした。